さかつう鉄道模型店
プラ製品で遊ぶ米国の客車列車Web版

(American Passenger Trains by Plastic Models)

その3:『郵便・荷物列車』のススメ
*元文章がメールニュース用の下書きのため、文章中の数箇所にウェブアドレスが記載されていますが
Web版用のためリンクを切ってあります。
 お手数ですがリンク先をご覧になりたい方はアドレスをコピーペーストした上でご覧ください。
 突然ですが最近、荷物車や郵便車ばかり(それもコンコーやIHCといった安価モデル)買っています。
それも鉄道名にそれほどこだわらず…。

 というのも1950年代のアメリカの郵便・荷物列車って、どこの鉄道も接続している他鉄道からの乗り
入れ車が適当に(もちろん実際には『○×(マルバツ)番列車には△(さんかく)駅から□(しかく)鉄道の
車輛が併結される』というようにきちんと決まっていますが…)入るので自社車輛だけで固まって編成に
なっているのは不自然なのです。

 メーカーでもそれがわかっているので他の車種が発売されていないのにも関わらず荷物車や郵便車
などを『ポツン』と製品化したりするのです。
 それとアサーン、コンコーなどといった安価メーカーの客車は60~72フィートといった『短縮形(=
ショーティー)』が多いですが荷物車、郵便車では積載重量の関係上、逆にこの長さが『フルサイズ』
である場合が多いので、製品そのままの長さで『フルサイズ』ということが通用してしまうのも利点です。

 またエクスプレス・リーファー(急行冷蔵車)は特に『同形状の文字違い』である場合が多い(REAが鉄道
会社にリース、またはREAと同形状の車輛を導入している場合も多い)ため製品化しやすい車種です。
だからアサーン、ウォルサーズ、BLIはエクスプレス・リーファーをたくさん製品化しているわけです。

 でも日本の場合(アメリカも似たようなものかもしれませんが)、多くの方は好きな鉄道、知っている鉄道
、もしくはどこに連結されていても無難なレイルウェイ・エクスプレス・エージェンシー(=小荷物急送会社:
REA)でお茶を濁すわけです。

 しかしモーニング・サン社の『~in Color』や『Trackside Around~』といったカラー写真集(これらに
限りませんが…)を見ていると結構他鉄道からの乗り入れ車が連結されているんですよ。

 ちなみにサンタフェファンのページには下記のような専用ページもあります。

From "Steve Sandifer's Railroad Page":Foreign Cars in Santa Fe Passenger Trains:
http://www.trainweb.org/jssand/Foreign/ForeignCars.htm
*リンクは切っております。

 これを見るとデラウェア・ラッカワナ&ウェスタン(DL&W)、ミズーリ・パシフィック(MoPac)、ニューヨーク・
セントラル(NYC)、ペンシルバニア(PRR)と、ざっと挙げただけでもこれだけの鉄道から荷物車、急送
冷蔵車が乗り入れていたわけです。

 まあ、『そのまま』乗り入れてくるのにはもちろん理由があり、最大点は『積み替える手間が無駄だし
紛失事故の元』ということです。確かに車輛のつなぎ替えで済ませられれば、積み替えるよりもかなりの
時間短縮になります。
 で、これらを牽引していたのが立派に特急・急行牽引用として運用できる形式です。(貨物用機など
ではありません!日本でも東海道・山陽筋の荷物列車は長年EF58でしたし東北筋はEF56でした
でしょ?)

 というわけでお手持ちに中途半端な荷物車、急行冷蔵車などがあったら適当に組み合わせて最後に
機関車と同じ会社の旧型座席車(流線形客車であることはまずありません)を1輛『ライダーカー(Rider
Car=郵便物や荷物の仕分けをする係員の休憩室車。専用車である場合と一般的な旧型座席車で
ある場合がある)』として連結しておくと『それらしく』なります。ぜひお試しあれ!
 HOスケールの真鍮製塗装済み完成品客車を多数企画・発売しているザ・コーチ・ヤード(The Coach
Yard)社の新しい企画にサザン・パシフィック(SP)鉄道の郵便・荷物列車『コースト・メイル(Coast Mail)
』号の企画が上がっており、それがHOプラ製品でも比較的似た感じに出来そうなセットだったのでライン
ナップを掲載してみました。
 Nスケールでもホイール・オブ・タイム(Wheel of Time)社製品を集めてくると出来そうです。
 なお企画内容は下記リンクからダウンロードしてご覧ください。資料として持っていても良い価値があり
ます!(リンクは切ってあるのでアドレスバーにコピーペーストしてから飛んでください。)
http://www.thecoachyard.com/Pages/Equipment/SPCM.html
SP Train 71-72 "Coast Mail" 8-Cars
形 式 番台区分 車番・仕様
H70ft Postal-Baggage SP 5065-5068 5065 Two Tone Grey
or
5068 Dark Olive
60ft Baggage,
ex Baggage-Dynamo
SP 6400-6404 Dark Olive
70ft Horse Baggage SP 7212-7223 7212 Dark Olive
or
7217 Two Tone Grey
60ft CS Baggage SP 6229-6230 6229 Two Tone Grey
or
6230 Dark Olive
60ft CS Baggage SP 6204-6206 6204 Daylight
or
6206 Two Tone Grey
60ft CS Baggage SP 6216-6218 6216 Dark Olive
or
6218 Dark Olive
60ft CS Baggage SP 6029 6029 Daylight
w/"Daylight" emblem
60ft Chair car SP 1957-1976 Dark Olive
 *これはあくまで『一例』であってその日の郵便・荷物状況等で大幅に変化します。また隣接する他
鉄道からの乗り入れ車(護送郵便車、エクスプレス・リーファー、エクスプレス・ボックスカー、等)が入る
場合も多々あります。
 これをHOプラ製品で編成すると下記のようになります。なおSPの2トーングレー仕様は未発表のため
UPにて代用していますが、もし製品化が発表になった際にはアップデートします。

 また『ホース・エクスプレス(Horse Express=馬運搬車)』はプラ製品ではどこからも発売されていない
ため省略しています。
*片側の妻面にのみ観音開きの扉を持ち、主に競走馬を競馬場同士や所属牧場の近隣駅の間で
運搬していました。
RND-86511 60ft Arch Roof RPO Car
Southern Pacific(SP)/Green Scheme

*上記リストでは『郵便・荷物合造車』になっておりますが
製品ラインナップには存在しないため『郵便車』にて代用
しています。
RND-86524 60ft Arch Roof Baggage Car
Union Pacific(UP)/Western 2-Tone Gray

*UP車ですが塗装が同じなので代用で入れてあります。
RND-86531 60ft Arch Roof Baggage Car
Southern Pacific(SP)/Green Scheme
RND-86523 60ft Arch Roof Baggage Car
Southern Pacific(SP)/Daylight

*上記リストにある6029号車はサンオーキン・デイライト号
の予備車で流線型荷物・座席合造車が検査の際、流線型
座席車と組んで代走を行っていましたが普段は通常の荷物車
として郵便・荷物列車で運用されていました。
RND-86531 60ft Arch Roof Baggage Car
Southern Pacific(SP)/Green Scheme
RND-86523 60ft Arch Roof Baggage Car
Southern Pacific(SP)/Daylight
RND-86591 60ft Arch Roof Coach
Southern Pacific(SP)/Green Scheme

*郵便・荷物の仕分け人の控室代わりに連結されていた
座席車。『ライダー・カブース(Rider Caboose)』として
専用車が存在したようです。
MR 2000年8月号に作例が掲載されています。
〈ライダー・カーの参考製品〉
International Hobby Corp.
348-49022 HW Combine
Santa Fe(AT&SF)/Green

*この車輛はプラ製品でサンタフェ鉄道のライダーカーを
模型化した珍しい製品なのですが分売の室内装置は
改造前Baggage-Library-Buffet-Lounge Car(荷物・
図書室・軽食・ラウンジカー)の室内となっております。
(製品のレタリングも改造前の仕様。)
ただしきちんと走る状態にするにはたいへん労力を必要とします。
*既に絶版になっております。
 ではこの連載お決まりの『閉め言葉』で今回分を終わりにしましょう。

『それでは次回まで、ごきげんよう。』
Next Trains:その4:AT&SF "RDC San Diegan"