さかつう鉄道模型店
プラ製品で遊ぶ米国の客車列車Web版

(American Passenger Trains by Plastic Models)

その5:D&RGW "Yampa Valley Mail"
鉄道名 Denver & Rio Grande Western Railroad(D&RGW)
列車名 "Yampa Valley Mail"
区  間 Denver - Craig(共にコロラド州)

《目 次》
 1:Walthersの逆襲!?
 2:リオグランデの各駅停車
 3:モデル・レイルローダー誌の思考との偶然の一致
 4:牽引機について(HOスケール)
 5:客車について(HOスケール)
 6:牽引機について(Nスケール)
 7:客車について(Nスケール)

*元文章がメールニュース用の下書きのため、文章中の数箇所にウェブアドレスが
記載されていますがWeb版用のためリンクを切ってあります。
 お手数ですがリンク先をご覧になりたい方はアドレスをコピーペーストした上でご覧ください。

 また当記事は2006年1月22日付けで配信した旧さかつうメールニュース(さかつう
会員様限定版)よりの再録となっております。そのため記事の事柄はすべて2006年
当時のこととしてお読み下さい。(一部修正加筆してあります。)

《1:Walthersの逆襲!?》
 米国型鉄道模型を販売し、そして自らも購入する立場の私(現:当店店主)に
とって2005年夏の『Walthers(ウォルサーズ)社によるLife-Like(ライフ・ライク)社
のホビー部門買収』は衝撃的でした。
 Walthers社の自社製機関車部門は『Trainline (トレインライン)』という廉価
ブランドのみで同社は車輛に限って言えばどちらかというと『客車・貨車(=付随車)
メーカー』の性格が濃かっただけに以前は『安かろう悪かろう』な製品が多かった
Life-Like (ライフ・ライク)社が威信をかけて1990年代に登場させた『精密限定
生産プラ製車輛(長い…)』で一世を風靡した同社のホビー部門を傘下に収めたのは
『自社機関車製品部門のラインナップ拡充』もあるでしょうが『将来、客車セットを
シリーズ化する際には客車のみではなく機関車を含めたトータルなラインナップ化を
図りたい』という点と『Athearn(アサーン)、Model Die Casting(モデル・ダイ・
キャスティング=ラウンドハウス)の2社をHorizon Hobby(ホライズン・ホビー)社に
買収された事への巻き返し』という狙いもあったのでしょう。
*両者による一連の買収合戦の発端はWalthers社による『Rivarossi社の米国
総代理店権収得』だったような気もしますが…。
注:実際にGNエンパイヤー・ビルダー号シリーズ以降は『PROTO 2000の機関車+
Walthersの客車』というパターンになっております。

 吸収以来、新製品もそうですが以前発売したラインナップの再販も積極的に
行っています。2005年末にご案内したPROTO 1000ブランドのDL-109もそうですが
2006年春予定ですがPROTO 2000ブランドでAlco PA-1/PB-1ディーゼル機関車
の再販も予定になりました。
 ただし両者共に『サウンド付き』にならないのは残念です。
(PA/PBはPROTO 2000なのだから積んできてほしかった…。)

 そこで今回は同ラインナップに入っている『リオグランデ塗装機(前回は有名塗装だけ
あって米国でもあっという間に完売しましたが今回はどうでしょうか?ただ現時点では
塗装が不明ですが…)』を用いて出来る短編成をご紹介します。
 ただしこの記事のいつもの如しで『そのものズバリ!』ではなく『発売されている製品で
出来るそれらしい編成』であることをご承知ください。
《2:リオグランデの各駅停車》
 『リオグランデ』といえば古くは『ロイヤル・ゴージュ』、ナローの『サンファン・
エクスプレス』、比較的新しいところでは『カリフォルニア・ゼファー』、『スキー
トレイン』、『プロスペクター』といった客車列車がありますがそれらはまた別の機会に
譲り、今回は『Yampa Valley Mail(ヤマ・バレー・メイル)』をご紹介します。
 『Yampa Valley Mail』号は名前こそ付いていますが各駅停車のローカル列車
でした。景色の良いRoyal Gorge(=ロイヤル・ゴージュ)が走行区間だったようです
http://www.royalgorgeroute.com/
(現在、同区間はRoyal Gorge Route Railroadという観光鉄道が所有している
ようです)が、如何せん各駅停車のため『あまりに時間がかかり過ぎる』という理由から
末期にはUS Mailからまで見放され(=高速道路によるトラック輸送に切り替えられた
のが理由でしょう)郵便・荷物車こそ連結していたものの実際は『どうしても自動車で
輸送することが出来ない地域への郵便・荷物を積載』という状態でした。

 乗客用も旧型、流線型座席車が両方とも連結されていた時期もありましたが
末期はプロスペクター号から放出されたドーム・ラウンジ展望車(=元チェサピーク&
オハイオ(C&O)鉄道の放出車で、スチーム・タービンM-1に牽引させる予定が出力
不足のため計画が頓挫したため結局、改造流線形ハドソンL-1が牽引していた
『The Chessie(ザ・チェシー)』用。ただしテール側に貫通幌付き)1輛でした。

 この『機関車+旧型郵便・荷物車+ドーム・ラウンジ展望車』という『デコボコ編成』も
面白いのですが、さすがにドーム・ラウンジ展望車はかなり改造しなくては入手できない
(注)ので今回はドーム・ラウンジ展望車に置き換わる前の『機関車+旧型郵便車+
旧型(または流線型)座席車』という編成を作ってみようと思います。

注:それでも『タイプ』程度のものです。なぜかと言うとバッド社製なのですがドーム部分
の柱がスピード感を演出するためか斜めになっているC&O向けのみの独自設計のため
です。そのうち改造しようかと思ってベースになりそうなコンコーのドーム付き展望車は
入手しています。と言ってもドーム部分は柱から作り直さなければならなそうですが…。

 まあこの列車を取り上げようと思ったのも前回発売された際、個人的に『リオグランデ
・スキートレイン(月刊とれいん誌にて掲載済み)』を編成するために絶対不可欠
(リオグランデ・ゼファーでも不可欠です)な『PB-1を改造した暖房車(黄色/銀色/黒色
1本帯のPB-1にて代用)』が欲しいが為にPA-1/PB-1セットを購入したもののPA-1が
余っていて『そのうちYampa Valley Mailにでも使おうか』と思ってFour Ways West刊
『PA~Alco's Glamour Girl~(絶版)』の中から当時の写真で機番を確認していたの
ですがあれから早くも2年以上が経ってしまいました。
《3:モデル・レイルローダー誌の思考との偶然の一致》
 実はなんで急に連載を再開しようと思ったかというとある日到着したModel
Railroader誌2006年2月号に掲載されていた次号(=2006年3月号)予告に
『Pike-size Passenger Trains:People Haulers to fit your layout
(=直訳:小型レイアウト向けの旅客列車。あなたのレイアウトに合う人々運輸
業者)』という見出しがあり、そこに写真が掲載されていたのですが、それがまさに
今回紹介する列車でした。

 これを見た時、『ある程度以上、客車列車について知っている人の考える事は
日米問わず同じなんだなあ』と思いました。でもMRにおける『Pike-size
Passenger Trains』の記事って実は前回が約3~5年前、その前はなんと
約20年前だったのです!それから考えると、この5~6年(=WalthersがBudd客車
シリーズを始めてから、と考えるのが良いのでしょう)におけるHOスケール客車商品の
急速な充実ぶり(残念ながらNスケールのお客様は恩恵を受けていませんが…。
それでもKATOやCon-corの客車シリーズはやはりこの5~6年の間です)を思い
知らされます。
*注:Nスケールもウォルサーズによる3形式、ラピッド・トレインズ(Rapido Trains)、
インターマウンテンによるインジェクション・キットの組立て品各種によってかなり増えて
きています。
《4:牽引機について(HOスケール)》
PROTO 2000

920-40104 Diesel ALCO PA-PB Set w/Mars Light
 D&RGW #6001/6002
*既に絶版になっております。


920-40105 Diesel ALCO PA-PB Set w/Mars Light
 D&RGW #6013/6012
*既に絶版になっております。

 2輛共にモーター付きです。Aユニットの上段ヘッドライトは3極電球を
用いているため電圧が上がると『擬似マーズライト』のような動きをします!
 なお今回は上記からAユニットのみ使用します。Bユニットは別の列車を
仕立てるためにしまっておいてください。
《5:客車について(HOスケール)》
・流線型座席車(比較的精密な製品)
Walthers

932-6768 Pullman-Standard 52-Seat Coach D&RGW(4-Stripe Scheme)
 *Chesapeak & Ohio(C&O)鉄道がプルマン社に発注しすぎたものを
リオグランデが引き取った車輛です。実車が存在しました。

・旧型座席車(比較的精密な製品)
Walthers

932-10111 Pullman-Built Heavyweight Paired-Window Coach D&RGW
 *製品はB&Oがベースのようですがスキートレインなどに使用されていた
旧型座席車のイメージで使用します。

・旧型郵便車(比較的精密な製品)
Walthers/Trainline

931-796 Trainline 60' Heavyweight Railway Post Office D&RGW
 *製品は同時発売の他形式(=Baggage、Combine、Coach)共々C&NWの
車輛がベースのようですが旧型郵便車の今風のレベルに合う製品は現時点では
これ以外にありませんので、こちらもイメージで使用します。
近似車はCB&Qなどにもいますし、台車をウォルサーズから別売の2軸ボギーに
振り替えるとサンタフェ風になります。
*既に絶版になっております。

 これとは別に私は下記の製品を用いて組みました。
私のお得意の『安価なIHC客車編成』です。

International Hobby Corp(IHC)
・旧型座席車(安価商品)

348-49231 Heavyweight Coach D&RGW
*既に絶版になっております。

・旧型郵便車(安価商品)

348-49235 Heavyweight Railway Post Office (RPO) D&RGW
*既に絶版になっております。

・流線型郵便車(安価商品)
348-48065 PS Smooth Side Streamline Railway Post Office (RPO)
D&RGW
*実車は72フィート級ですがイメージ的にはぴったりなので代用します。
ただしこのままではコルゲート(波板)がありませんのでグリーンマックスのコルゲート
シートを貼ります。
 また製品には同じ窓配置でコレゲート仕様も発売されております(348-47335)が
幕板部にもコルゲートがあるため(ベース車が違うのだから仕方がない…)
『Rio Grande』の文字が小さくなっています。

 またIHCの製品はすべて妻面が黄色(=アスペン・ゴールド)ですが実際は黒色
だったようなので塗装変更するのが良いと思います。
《6:牽引機について(Nスケール)》
Walthers/PROTO

920-7547 Alco PA+PB Set D&RGW #6001+6002
*既に絶版になっております。


920-7550 Alco PA+PB Set D&RGW #6013+6012
*既に絶版になっております。

 こちらもHO同様、2輛共にモーター付きです。今回は上記からAユニットのみ
使用します。Bユニットは別の列車を仕立てるためにしまっておいてください
*どちらのセットもAユニットのヘッドライトが実車と異なり1段ライトのため正確を
期すならば下段にもう1個ヘッドライトを追加する必要があります。


KAT-1764107 Alco PA D&RGW #6011


KAT-1764108 Alco PA D&RGW #6013

 今ならカトー製品を使う手があります。これとウォルサーズの流線型客車を
組み合わせれば製品レベルが合うと思います。
《7:客車について(Nスケール)》
・旧型客車(Con-cor)

223-580018 Heavyweight Passenger Car Set:D&RGW #1
または
223-5800181 Heavyweight Passenger Car Set:D&RGW #2
 *セット内容はどちらもBaggage、Baggage-Coach(Combine)、Coach、Diner、12-1 Sleeper、Cafe-Observation Carです。この内、Baggage(郵便車代用)とCoachの2輛のみを用います。
 K Arnold Gmbh & Co(=アーノルド社)から発売されていた製品(ほぼ同一製品ですが現時点では
絶版扱い)を用いる際は125-540(Baggage、Coach、Dinerのセット)を使用します。
 ただしアーノルド・カプラー仕様です。
 *現在発売されている上記2種はマイクロトレインズ・カプラー装着済みですので
交換の手間が省けて便利です。

流線型荷物車(郵便車代用:Walthers)

932-5598 PS 72ft Baggage Car D&RGW
*製品はPere Marquette(=C&Oの子会社)が導入した車輛(計2輛)がベースのようです。
*通常、荷物扉は向こう側にある扉も同じサイズなのですが、この車輛は隣り合った
ドア及び向こう側のドアのサイズが異なる、という一風変わったスタイルです。
製品をお持ちの方、見比べてください。
 ちなみに実車図面はTLC Publications刊『C&O Streamliners-
Second to None vol.1 The Cars』に掲載されております。

・流線型座席車(Con-cor)
223-1400114 85' Smoothside Streamlined Coach D&RGW
 *アーノルド・カプラー仕様です。

・流線型座席車(Walthers)

932-55068 PS 64-Seat Coach D&RGW
*製品はNYCが戦後導入した車輛がベースのようです。イメージとしては現行の
スキートレイン・コーチに近いかと思います。
(実車はCN/VIA Railから購入したTempo Car。)
*現在はウォルサーズの客車2種を各1輛ずつ使用して組むのが
一番手っ取り早くて簡単です。
 ではこの連載お決まりの『閉め言葉』で今回分を終わりにしましょう。

『それでは次回まで、ごきげんよう。』
Next Trains:その6:客室仕切り板の使い方