さかつう鉄道模型店
プラ製品で遊ぶ米国の客車列車Web版

(American Passenger Trains by Plastic Models)

その1:"Rio Grande Ski Train" After Snow
鉄道名 Denver & Rio Grande Western Railroad (D&RGW)
列車名 "Rio Grande Ski Train (リオグランデ・スキー・トレイン)"
区 間 Denver (デンバー) - Winter Park (ウィンターパーク・共にコロラド州)

《目 次》
1:機関車の連結順番など
2:D&RGW F9の改番歴
3:模型について:『"Robert Young's Car"の罠か!?』by○○
4:残りの車輛について:HOスケール
5:映画に登場したスキートレイン
6:参考資料

*元文章がメールニュース用の下書きのため、文章中の数箇所にウェブアドレスが記載されていますが
Web版用のためリンクを切ってあります。
 お手数ですがリンク先をご覧になりたい方はアドレスをコピーペーストした上でご覧ください。

リオグランデ鉄道の路線図については下記をご参照ください。http://www.drgw.net/info/uploads/Main/rgmap.gif
 とれいん誌に掲載した際は一部気になりつつもそのまま掲載していただきましたが、今回はその『Up-
Date(=補足)』記事になります。(雪も解けてしまったので『~After Snow~』なのです!)
《1:機関車の連結順番など》
 記事掲載に際してとれいん誌の担当氏(平野 聰氏)に渡す際、確か編成順を手紙にて指示したつもり
だったのですが、印刷原稿が出来てきたら、あらビックリ、PB-1の連結位置が4輛目!


 確かにあのPB-1、Steam Generator Car(=暖房車)になってからの姿(=エンジンを降ろして蒸気
暖房機能を強化していた)を想定しているので、『一般的な暖房車の連結位置』としては『あの位置』
でもおかしくはないのでしょう(日本型でも暖房車のマヌやナヌはボイラー燃料用の石炭積み込み作業
の関係上、機関車と客車の間、または滅多になかったようですが客車列車の最後尾が普通ですよね?
)が写真を調べるとF9A #5771のフォーメーションでは2輛目もしくは3輛目に連結されるのが定位置
だったようです。

ということはこんな感じです。

F9A #5771+Steam Generator Car(ex-PB-1)#253 +F9B #5762+F9B #5763


もしくは

F9A #5771+F9B #5762+Steam Generator Car(ex-PB-1)#253 +F9B #5763


 F9がスキートレインを牽引していたのはRio Grande Zephyr(=リオグランデ・ゼファー)廃止(1983年)
後の2年程度です。その後、F9A #5771+F9B #5762はコロラド州ゴールデンのCorolado Railroad
Museum http://www.crrm.org/へ寄贈され現在は若干塗装変更されて保存されています。
(黄色/銀色/黒色1本帯 → 黄色/銀色/黒色4本帯/ナンバーボード周囲が黒色)

 なお残ったF9B #5763はUPが引き取って現在は車籍がない状態でシャイアン機関区にいるようです。
以前とれいん誌に掲載されたシャイアン機関区の扇形庫の周囲を撮影した写真及びGoogle Earth
にて確認しています。

 またPB-1改造の暖房車#253は途中、台車をアルコ3軸からFユニットまたはGPの廃車発生品の
ブルンバーグに交換、さらに蒸気暖房発生装置を発電機に積み替えた上で電気暖房仕様に改造
されて現在もなおSki Trainに使用されているようです。
(2000年代にカナダのアルゴマ・セントラルに売却されて78号として活躍中です。2013-06-20追記)

 しかし1980年代にもかかわらずこの編成は方向転換に不便なフォーメーションだと思いません?最後の
F9BをAユニットに変えてあった方が効率的だと思うのですが…。

 なぜこういったフォーメーションだったかは過去のDiesel Era誌に掲載された『D&RGW F-Units』及び
DRGW.NETを読んで判明しました。
《2:D&RGW F9の改番歴》
 カリフォルニア・ゼファー号運行当時、D&RGWのF9ディーゼル機関車は下記のフォーメーションでした。
(Green Frog社 DVDビデオ "The California Zephyr~The Ultimate Fan Trip~" by Emery
Gulashにて確認できます。)

F9A #5771+F9B #5762+Steam Generator Car(ex-PB-1)+F9B #5773+F9A #5774

 ところが1968年3月29日コロラド州Grizzlyにて起きた事故によりF9A #5774+F9B #5773が廃車に
なったのです。F9Bについてはその3年前(1965年7月25日)に同区間にて5772号機が事故廃車に
なったためF9B 5753号機をF7B 5762号機(初代)と番号交換で改番の上、5762号機(=2代目)と
してあったのですが代わりの客車用Aユニットがなかったために上記のようなフォーメーションになったのです


 上の文章を簡単に書くと下のようになります。

・F7B #5762 → F7B #5753(1955年11月14日付け改番)・F9B #5753 → F9B #5762(1955年
11月14日付け改番)
*下記Webページによるとこの改番日付けについては11月説と別説があります。
・F9B #5772 → 1965年7月25日事故廃車
・F9B #5773 → 1968年3月29日事故廃車
・F9A #5774 → 1968年3月29日事故廃車

参考Webページ:DRGW.NETよりD&RGW F9A/F9B Roster
http://www.drgw.net/info/pmwiki.php?n=Main.F9

参考Webページ:DRGW.NETよりD&RGW F7A/F7B Roster
http://www.drgw.net/info/index.php?n=Main.F7
《3:模型について:『"Robert Young's Car"の罠か!?』by○○》
 誰かのセリフのようなタイトルですが気にしないで下さい…。
 記事掲載時にも書きましたがこの列車のBaggage-Dormitory-Coach(バゲージ・ドミトリー・コーチ=
日本風に書くとスハニ?もしかすると重量的にはマハニかもしれませんが…とにかく荷物・スタッフ寝台・
座席車の合造車です)はチェサピーク&オハイオ(チェサピーク&オハイオChesapeak & Ohio=C&O)
鉄道が『戦後も戦時中と同様の旅客需要があるのでは?それならば所属している旧型客車を支線用を
含めてすべて流線型車輛に置き換えよう!』と考えてプルマン・スタンダード(Pullman-Standard)社に全
形式合計で284輛という大量発注をしておきながら需要見誤りにより大量キャンセルした車輛の内、既に
完成していた分の一部をプルマン社から押し付けられた車輛です。

 元々『戦時中の需要』というのは日本でも朝鮮戦争の際にそうだったようですが『特別需要(=特需)』
なので戦争が終われば戦前とほぼ同水準に戻るのは目に見えていたはずです。
 図面段階でのキャンセルであればどうにでもなりますが(それでも部材はすでに発注していたのかもしれ
ません。それは今後受注分の製造に回せば良いことです)台枠(これも別の注文分にでも転用するしか
ないでしょうね)やら車体が組みあがっている車輛はなんとか売りさばかなくてはなりません。

 そのためプルマンの営業担当は東海岸側を中心(元の発注主であるC&Oが東部の会社なのでそちら
の気候にあわせて製造していたはず)に東部のボルチモア&オハイオ(B&O)、デラウェア&ハドソン(D&H)
、ニッケルプレート(NKP)、ニューヨーク・セントラル(NYC)、南部のアトランティック・コースト・ライン(ACL)
、シーボード・エアーライン(SAL)、フロリダ・イースト・コースト(FEC)、さらに西部のシカゴ&ノース
ウェスタン(C&NW・これは後にサザン・パシフィック(SP)に再売却されます)、リオグランデ(D&RGW)などに
なんとか売却しました。

 リオグランデではこれらを『Prospecter(プロスペクター)』号など自社線内列車に使用していた旧型車
を置き換える名目で購入しました。実際、これ以外にもかなりの列車(例:Yampa Valley Mail=ヤマ・
バレー・メイル、など)を旧型車から流線型車に置き換えたようですがスキートレインのように旧型車が
残った列車もありました。

 コンバインNo.1230-1231もそんな車輛の一員。一時期はリオグランデ・ゼファー号でF9の次に連結
されていましたが1983年、リオグランデ・ゼファー号の廃止に伴い一旦失業したものの機関車共々スキー
トレインにてしばらくの間、返り咲きました。(と思ったら1999年のシーズンでの1231号だけはTempo Car
と共に編成されていたようです。)

流線型コンバイン:International Hobby Corp.
 IHC-47334(D&RGW・コルゲートサイド仕様)、IHC-48064(D&RGW・スムースサイド仕様)
            
   左写真:IHC-47334(コルゲート・サイド仕様)  右写真:IHC-48064(スムースサイド仕様)

 連載当時、Baggage-Dormitory-CoachにはIHCのCorrugated Combine(Walthersカタログ
品番:348-47334)を当てていました。これは実車同様、腰板部にコルゲート板が表現されていたから
でしたがこの製品、リオグランデの場合には必要のない幕板部にもコルゲートがありました。
 そりゃあベース車が違う(=製品のベースはサザン鉄道1941年版"Southerner"、"Tennessean"に
使用された車輛)のだから仕方がありませんがそのために幕板部に入る『Rio Grande』の文字の天地が
小さくなっていました。
 そこで最近Smoothside Combine(同品番:348-48064)を新たに購入しました。この製品は腰板部
は銀色で塗装してあるだけなのですが黒帯を消してしまえば(=要するに黄色/銀色のツートンカラーに塗り
替える)リオグランデ・ゼファー号以降の時代仕様になります。(台車は左と同様、銀塗装に変更予定。)

参考実車写真:http://users.sisna.com/jimbobnay/SkiTrain/SST_1231.jpg

 が、そこまでするのは面倒なので『塗装変更なしで腰板だけコルゲート板付き(ということはProspector
(プロスペクター)号時代の仕様になりますか…)』にすることにしました。使用予定のアイテムは日本の
グリーン・マックス(Nゲージメーカーです)から発売されているコルゲート板(品番:82)です。
 コルゲートのピッチ的には狭いですがこれが一番簡単で、なおかつアルミをエンボス加工してあるので
実物のようにキラキラ輝きます!

 もっとデコボコ感を出したい方はかなりの大工事になりますがEVERGREEN社の『Metal Siding
(メタル・サイディング)』というプラ板を用いて腰板をそっくり置き換えるのが良いのでは?
 もしくはRail Model Journal誌2005年11月号に掲載された『Burlington "Fluted-Side" E5A
and E5B from PROTO 2000 or Broadway Ltd. Models(E6A/E6B)』のように同じく
EVERGREEN社の.040 inch (約1.0mm)半円形プラ棒(5本入り/品番:240)を貼って再現する手も
あるようです。(試しにやってみようと思って早速材料を調達しました!)

 ちなみにこの記事、バーリントン(CB&Q)のオーダーメイド形式であるE5をE6から改造する、という記事
です。

 また1970年代の一時期『Rio Grande Zephyr』号専用車としてドームカーなどに合わせて銀一色
だった時代もあります。(Morning Sun Books "D&RGW Freight & Passenger Equipment"に
写真掲載)
 手を抜く場合はコッチの方が簡単ですが単調過ぎますね。

追記:アスペンゴールド塗装のリオグランデ(スタンダード・ゲージ線)客車の妻板は黒色です。上記も本来
は追加塗装するべきです。
《4:残りの車輛について:HOスケール》
・牽引機:Athearn/GENESIS
 ATH-G3252 F9A+F9B+F9B D&RGW #5771+5762+5763(絶版)

 記事掲載時は製品そのままのためアナログDC専用機でしたがその後Athearn社よりMRCサウンドを
搭載した『DCCサウンド付き動力ユニット』が別売になりましたので3輛共に交換してサウンド付きになって
おります。

 上記の予定でしたがとりあえずAユニットを交換した段階で残念ながらBユニット用が絶版となったため
MRCから発売予定の『Athearn/GENESIS F-Unit用サウンドデコーダー』の発売を待っているところ
です。
 さらに実車は1980年頃にF9Aの前部スカートを自社工場手製らしきものに交換していますが加工した
場合、オリジナル部分と改造部分の色調に差が出過ぎる可能性があるのでそのままにしています。
・Steam Generator Car:PROTO 2000
 920-40105 Alco PA+PB D&RGW #6013+6012(絶版)

 上記2輛セットよりAlco PB #6012(写真下)のみを用います。余ったPA #6013(写真上)は"Yampa
Valley Mail"という別列車に用います。(その5に掲載)

 なお実車は時期によりオリジナルのアルコ3軸台車とEMDブルンバーグ台車(F7やGP-7などが使用して
いる台車)の時期があります。
 今回のイメージの頃(1980年代)はブルンバーグ台車ですが、すんなり使えるものが意外とないため
車体ディテール共々そのままです。
 また牽引機とはギヤ比が合わないため、モーター及びウォームギヤなどは外しておいた方が良いかもしれ
ません。
・客車:旧型座席車:International Hobby Corp.
 IHC-49231 HW Coach D&RGW 5輛(絶版)

 実車は8輛ですが長過ぎる点と単調なため現在は減車してありますが将来的には実物同様の輛数に
する予定でしたが絶版のため7輛でストップしました。塗装もF9牽引時の実物は『黄/銀/黒1本帯』
でしたがそのままとしてあります。
 なおこれも妻板は本来黒色にするべきです。
・流線型ビジネスカー:KATO-USA
 381-356009 Budd Busines Car D&RGW "Wilson McCarthy"(絶版)

 記事発表時と同様です。製品のベースはCB&Qの"Burlington"ですがD&RGWにも比較的似た
車輛(=実際にはPS 52-Seat Coachからの改造車。N-Scale Railroading誌に改造方法が掲載
されていました)がいたため使用しています。
(後日、上記の正規車輛のブラス製品をあるお客様より譲渡していただきました。)
 私はこれを『プライベートカー』扱いで『団体が乗車している』という想定で併結しています。

 塗装も製品そのままです。アスペンゴールドの色調がすべて異なりますが『塗装周期の異なる車輛が
同一色調・同一艶ということは絶対にありえない!』という持論からそのままです。
 工作力のある方は展望デッキ下左右のバックアップライト(=夜間に後方を照らす設備)にドリルで穴を
開けて裏面にチップLEDを仕込むのも良いかと思います。

 余談ですが手持ちのCB&Q "Burlington"には以前テストとして日本のキングスホビー製『ミニライト
ユニット(白LED・ケース付き)』を床下に組み込んでみました。

            
左写真:点灯シーン。屋上のバックマーカーライトは標準装備。
床下に注目!デッキ下左右のライトが白色に光っている様子がわかると思います。

右写真:パーツの組込み状況。台車と連結器(=カプラーポケットごとケーディーNo.58に交換)間に
ある黒い箱に基板と白色チップLEDが入っている。そこから左右に延びている透明な棒はLEDユニット
付属の光学繊維。先端はライトのサイズに合わせてハンダコテで熱して拡大してある。
・ドームカー:Broadway Limikted Imports
 BLI-516 Vista-Dome-Dormitory-Buffet-Lounge D&RGW "Silver Shop"(絶版)


・ドーム付き展望車:Broadway Limited Imports
 BLI-522 Vista-Dome-Lounge-Observation D&RGW "Silver Sky"(絶版)

 これはColorado Railroad Museum(旧版はInterurban Press)から発行された『The Ski Train
(旧版:Rio Grande Ski Train)』という書籍に掲載されていた写真から思いついたのですがリオグランデ
・ゼファー号に使用されていた上記2輛が時折最後部に併結されていたようです。
 そのため上記のビジネスカーと交換して楽しんでいます。
《5:映画に登場したスキートレイン》
 GP40あたりが牽引してた時代のスキートレインは映画に登場しています。原題"Runnaway Train"
(邦題:暴走列車)といいます。1988年頃のとれいん記事(=D&GRNにまつわるショートショート)にて松本
謙一氏がとりあげたこともあります。あらすじは下記のとおりです。

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 冬季、Winter ParkからDenverへ帰ってくる列車が舞台ですがブレーキが凍結した上に検査の際の
見落としでブレーキシューがかなり薄い状態のため下り勾配の続く路線で徐々にブレーキシューが利か
なくなってくる。
 機関士はそれに気が付いていないが客車では車掌と主人公の男性があまりの揺れに異変を察知
する。機関士はもうすぐ定年を迎える老機関士(ベン・ジョンソン=ジョン・フォード監督作品で名脇役を
演じていた俳優)。
 車掌は機関士と連絡を取ろうとするものの無線を切っているのか連絡がつかない。そうこうするうちに
運転指令所も列車の異変に気がつく。
 この先には急カーブが待っているため車掌と主人公は客車側からブレーキを掛けようとするがデッキから
身を乗り出して作業をしていた車掌は誤ってカーブで振り落とされてしまう。(この間、乗客や機関士
それぞれのドラマがありますが長いので中略。)

 最後はデンバー市内の機関区から出てきた銀色の最新鋭機関車(SD40T-2か?でもなぜか銀色…)
が列車最後尾に走行中連結を試みて成功させ、ギリギリのところで無事にデンバー駅に停車させる。

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 ではこの連載お決まりの『閉め言葉』で今回分を終わりにしましょう。

『それでは次回まで、ごきげんよう。』
《6:参考資料》
・Interurban Press:Rio Grande Ski Train
・Colorado Railroad Museum:The Ski Train
・DRGW.NET
・Withers Publications:Diesel Era/D&RGW F-Units
・プレス・アイゼンバーン:月刊とれいん D&GRNにまつわるショート・ショート

 And More!!
Next Trains:その2:『ドMな方向けの』プラ客車の走行性能改善方法