〈1.実 物〉 |
Coming Soon! |
〈2.遂に揃った!?20年掛かりの客車編成〉 |
すべては私の高校時代にさかのぼります。アメリカ形を始めるにあたって月刊とれいん誌(プレス・アイゼン
バーン刊)にて松本謙一氏が当時連載していた『50州あるふぁべっと』を読んでいた際、ある機関車に目
が留まりました。それはカリフォルニア州の回に出てきたデイライト塗装ながら小柄な蒸気機関車でした。
ウェストサイドモデルス/マイクロキャスト水野製のその蒸気機関車の模型は『サクラメント・デイライト号
の専用機』として紹介されており、動輪配置はアトランティック(=4-4-2)という快速旅客機仕様、同じ
デイライト号用のGS-4が履いている80インチ(=約203cm)動輪を凌ぐ84インチ(=約213cm)の大直径
スポーク動輪、お供には旧型合造車ながらやはりデイライト塗装の客車にサン・オーキン・デイライト号から
分割された編成を牽引して州都サクラメントへ運行されていた、という記事はまさに小レイアウトに似合う
模型向きの実物でした。
ある日、銀座天賞堂の4階にある中古ショップのエバーグリーンショップで機関車+合造車の出物を
見つけましたが『セットで10万円!』という価格にはさすがにその時は手が出ませんでした。
時は過ぎ、私が旧さかつうへ入社した2000年代初頭、旧モデル・ダイ・キャスティング/ラウンドハウス
(Model Die Casting/Roundhouse)社がアサーンに吸収される寸前、同社のハリマン4-4-2蒸気
機関車のキットを入手したのです。それは噂どおりの『とんでもないキット』で、開けた瞬間『アメリカ人は、
よくこんなの組めるなあ』というのが率直な感想でした。
とりあえず、その4-4-2のキットは『無かった事』にして仕舞ってしまい(当時、カルスケールから同製品用
のディテールアップキットもあったのですが、既に入手難でした)、代わりに店頭に中古で出ていたPFM/
SKIが作ったA-3(=A-6の元になった形式)を入手。これは実車の原形に近いので従台車が内側台枠
だったりするのですが、これに当時バックマンから分売されていた『Medium Length Vanderbilt Tender
/SP-Oil Version』というのがあったので『これでも繋がるようにすれば、それらしく見えるかも?』と考えて
いました。
2009年頃、新額堂の広告に『ウェストサイド・モデルス製SPテンダーあります』という項目が写真入りで
掲載されました。『これは間違いなくミズノがA-6を作った際の余りに違いない!』と思い竹中氏に電話
して入手。『PFM-SKIのA-3にこれをつなげれば電気的にも簡単なはず』と思って後は塗装するだけに
なっていました。(この時点でバックマンのテンダーが余剰に。ラインズだったレタリングまで削ったのに…。)
2010年7月下旬、アサーン/ラウンドハウスの手によって古典2-6-0の再販ラインナップに『なんちゃって
デイライト塗装機』が入り、『正式なのを入手するまで、これでもいいかな?』と思い、1603号機を発注、
後に無事入手。(現在、店頭にてMRCデコーダーの搭載作例として日々停車しつつサウンドを鳴らして
います。)
それと前後して同年のある日、久しぶりに熊田貿易のホームページの米国型委託品リストを見ていた
とき『PSC Harriman Baggage-Chair/Daylight #3167』という1行を見つけたのです!
この車輛はサクラメント・デイライト専用車として唯1輛、ハリマンの旧型コンバインから塗装変更された
彼の地の客車ファンには有名な存在でイリー・リミテッド/クマタで1度生産された後、PSCとコーチヤード
が韓国のメーカーに製造させたものが各1回ずつ発売されましたが最新版であるコーチヤード製品は出来
は良いけどたいへん高価(=輸入元のプレスアイゼンバーンに聞いたら日本円で6~7万円!)。
すぐに熊田貿易の樋口氏に電話して取り置きしていただき、その週に出かけて入手。
さらに1年後の2011年5月下旬、またまたアサーン/ラウンドハウスの手によって合併後、再販になって
いなかった60フィート・ハリマンカーシリーズがアーチルーフ・カーシリーズとして復活。ただ復活しただけで
なくマグネット式で取り外し可能な屋根、ディテールアップした床下機器、金属製手すりや新規作成の
ステップ類など、大幅にグレードアップして発表。第一弾ラインナップにSPデイライト塗装が入り、その中に
コンバイン3167号があり『アサーン、わかっているな!』という感じでした。それ以外の荷物車、郵便車に
してもサン・オーキン・デイライト号のリリーフカーに使えそうなのが最適でした。
2011年6月15日、その日は鉄道模型市の反省会を行った後、銀座へ向かいました。数日前、巣鴨
時代以来、数年ぶりにご来店されたお客様(=RM Models別冊『CRAFT TRAINS』にてカンタム日本型
蒸機・天プラ蒸機×発煙装置のネタを掲載されたT氏)から『天賞堂のエバーグリーンショップにサンセット
・モデルスなどが中心だけれどアメリカ形ブラス蒸機が安値で大量に出ている』というお話を伺い、『どんな
のが出ているのだろう?』と興味本位で行ってみたのです。
ちょうどその週は有楽町・みゆき座他の全国東宝系映画館の一部で行っている『午前10時の映画祭
(赤の50本)』でみゆき座にて名作『12人の怒れる男』が上映される週でした。
私は高校生の頃から天賞堂の裏にあった『銀座文化劇場』という名画座(既に閉館)で『翼よ、あれが
パリの灯だ』、『北北西に進路をとれ』とった作品を観に行っていたのですがDVDの普及と共に映画館で
古い映画が上映されることも少なくなって行きました。
実際に2013年度以降、デジタル上映が主流になるとフィルム上映で見る機会は激減する、しかも
今回は『海外にあるオリジナル原版からのニュープリント』ということで、古い映画フィルムに特有のあの
イヤな『ゴミ』や『キズ』、『雑音』がほぼ皆無の状態で見られる、とあっては行かないわけにはいきません!
先に劇場窓口にて鑑賞券(=昔の映画館と違って今の映画館は具体的に席を指定できる全席指定
です)を購入、その足で時間つぶしがてら天賞堂銀座店へ。平日の夕方とあって、お客様はまばらでした
。
確かに4階のショーケースには未塗装を中心に米国型蒸機が大量に並んでいました。といっても
オリエンタル・リミテッド(=現ブロードウェイ・リミテッド・インポーツ)のUSRA 2-8-2、2-10-2からPFM/
Unitedのサンタフェ4-8-4(と言っても1960~1970年代製と思われる物)まで。『うーん、想像していた
よりも出物は無さそうだなあ』と思ったとき、ショーケース下方に積まれていた箱の中にウェストサイド・
モデルスの赤い箱を見つけたのです。
『どうせUP 7000(4-8-2)かSPの何かだろう』と思ってラベルを見ると『SOUTHERN PACIFIC A-6』
と書いてあるではないですか!それを見たときの静かな興奮といったら言い表せません!
見せていただくと走りはまあまあ、テンダー上面の手すりが若干曲がってはいたものの、その位はブラス
なので『クイッ』とやれば直るはずと思い、そのまま購入しました。(なんと25,200円でした。)
映画を観終わった後は自宅へ直行。簡単に試運転の後、テンダー後部カプラーをケーディースケール
に変更、ボイラーウェイトを積んでなかったので若干カット(穴位置に対して長かった)の上、積み(テンダー
ウェイト搭載のみ2012-07-11)ました。(このせいで走りがイマイチだったのかもしれません。)
これで編成前半部分は現在、『正式』と『超なんちゃって』の2編成になったわけです。
なお編成後部について、実物は初代流線型編成のコーヒーショップから後ろ半分、ですが初代編成の
正式仕様はプラ系では数年前にアサーンがジェネシスブランドにてMT-4蒸機と共に製品化する、という
発表を小冊子にて行ったものの現時点(=2012年7月上旬)では結局、座席車のみの発売で止まって
いますので、とりあえずブロードウェイ・リミテッド・インポーツのコースト・デイライト(これも連接座席車と
展望車の発売で止まっていますが…)が発売になったら後部編成(流石にサクラメント・デイライトに3連接
食堂車は不自然なのでカット)を連結しようかと思っていますが上記とは別に『超なんちゃって編成』用に
アサーン/RTRの流線型コーチ×4、食堂車、展望車を用意してあります。 |
〈3.模型(HOスケール):実物忠実編成〉 |
(1946年6月上旬調査)
・SP 4-4-2 class A-6 #3000 or 3001(Daylight Scheme)
・Baggage-Chair(Hariman):3167(Daylight Scheme・Only-One)
・Coffee Shop(77-D-11・80-Seat):10400 or 10401
・Chair(79-C-2・46-Seat)
・Articulated Chair(66-ACW-X・46-Seat)
・Articulated Chair(66-ACM-X・46-Seat)
・Parlor-Observation(77-PRO-1・22-Seat):2950 or 2951
または
(1947年2月調査)
・SP 4-4-2 class A-6 #3000 or 3001(Daylight Scheme)
・Baggage-Chair(Hariman):3167(Daylight Scheme・Only-One)
・Coffee Shop(77-D-11・80-Seat):10400 or 10401
・Chair(79-C-2・46-Seat):2493 or 2488
・Articulated Chair(66-ACW-X・46-Seat):2482 or 2462
・Articulated Chair(66-ACM-X・46-Seat):2481 or 2461
・Chair(79-C-2・46-Seat):2486 or 2424 |
*機関車とコンバインの間にはハリマン荷物車、郵便車が数輛入るのが通常のようです。
(SP Passenger Cars vol.3 "Head End Equipment" SP歴史協会刊等にて確認)
*資料を調べてみると実物は思ったよりも長かったのです! |