〈1.最初に〉 |
久々ですがいつもと違って近代型にも使える話を書きたいと思います。
日本には少なくとも営業用としては今まで登場しなかったようですが
アメリカには日本語にすると『社長専用車』という車種があります。
*『皇室用』を除きます。また旧九州鉄道のブトクは『作ったけど
営業用には使えなかった』なので。しいてあげれば『第二次大戦後の
占領軍の大隊長が個人用に展望車を徴用した位』ですかね?
正確には『ビジネスカー(Business Car)』と呼ばれ、大鉄道になると
社長のみならず重役用や各管理局の局長クラス用があった鉄道も
ありました。
例:サンタフェ鉄道など。
車輛は新製車の場合と改造車の場合、共にありますが比較的多い
形状は『後部に展望デッキやデッキを持たない場合でも展望室を設けて
ある』でしょうか?
大抵は最新車が社長用で、順に『お下がり』になります。
車内は最大規模の場合、簡単なキッチン、会議室兼ダイニング・
テーブルを備えた広間、いくつかの個室寝室(=トイレ、シャワー付き)、
ポーターの居室、からなる事が多いです。
ちなみにカトーUSAがHO/Nスケールで製品化した『バッド・ビジネスカー
(Budd-Built Business Car)』はバーリントン・ルート(CB&Q=
現BNSFの一部)がバッド社に1950年発注、1952年に1輛のみ製造
させたカー・ネーム『バーリントン(Burlington)』がモデルになっています。
室内はキッチン、スタッフ用寝室、10人用ダイニング兼会議室、
1人用・3人用・2人用寝室各1、ゲスト用個室×2、8人用展望室、
からなります。
展望室には当時としては最新式の『オープン・リール式』のテープ
デッキが装備されていました。
*カセットテープの超大型のもの、とでも言えば良いでしょうか?
で、それらは各鉄道が貨物専業になるとごく少数の社長用を除き、
管理局長用等は自動車で代用になってお役御免に。それらは廃車後、
解体になる場合もありましたが個人や中小鉄道、大小の鉄道博物館に
払い下げられた車輛も多数ありました。
個人所有になった客車はどんな車種でもまとめて『プライベート・カー
(Private Car)』と呼びます。
塗装は元の塗装を尊重する方もいれば自分の好きな色に変更される
方もいます。
これらは鉄道博物館等ではそのまま使用された車輛もありましたが
仮にアムトラックの列車に併結させてもらう場合は『一定の決まり事』が
あります。
・車輛の冷暖房等の供給元を自車が搭載している発電機以外に従来の
車軸発電機+蒸気暖房式から旅客用新型機関車が装備しているヘッド・
エンド・パワー(Head End Power=HEP)式に改造されている事。
*要するにSG→EG化されている、という事です。
・アムトラックの私有客車の車番(=800000番台)を取得している事。
少なくとも上記を満たした上できちんと整備されていれば1マイル=?ドル
にてアムトラックの定期列車に希望の目的地の駅まで併結してもらえます。
そして、その駅に側線があれば希望日まで留置してもらえます。
そのためロサンゼルス中央駅などには『プライベート・カー専用の客車
留置線』が存在します。
*グーグル・アース等で探してみてください。
こういった点からいわば『陸のクルーザー』とでも言えば良いでしょうか?
こういった車輛を所有する『お金持ち』の方達が年1回~数年に1回
程度のペースで集まって『自分の客車を持ち寄って旅行する』という
日本では考えられない『優雅な遊び』があります。それが今回のテーマです。
ちなみに店長の手元にこんな雑誌があります。
『Private Vernish』誌 2002年発行 通巻第97号
*当時、西山洋書さんで特価本の山の中にあったのを見つけて
購入しました。
私有客車の運行状況だけに特化した『変な雑誌』ですが、この号は
私有客車を所有していない方向けに貸し出しされている私有客車の
カタログやプルマン寝台車の室内パターンをイラストで解説したページが
あって客車の内装を調べるのに重宝するので購入したのだと思います。
この表紙の写真、拡大すると、こんな編成です。
カリフォルニア・ゼファーのドーム付き展望車、フリスコ(SLSF)の寝台車、
UPのドーム付き展望車、などなど、結構グチャグチャです。でも『上記の
決まり事』を守って編成されているので『みんな仲良く』連結されているわけ
です。
ちなみにこれは『全米私有客車オーナーの会(American Association
of Private Railroad Car Owners=AAPRCO)』が1995年に行った
イベント旅行の写真でカナダ・ブリティッシュ・コロンビア州で撮影されたカット
です。 |
〈2.遊び方〉 |
まずアムトラックの旅客用機関車を2~3輛程度用意します。上にも書いた
通り、電源がHEPになっている方が良いので必然的にディーゼル機ならば
F40PH、P42DC、電気機関車ならばAEM-7(=Nプラでは未製品化)、
E60CP(=HOは絶版、Nではバックマンの初心者向けセット売りのみ。それも
絶版か?)、HHP-8(=絶版)、ACS-64(HO=バックマン、N=カトー)という事に
なります。
*E8/9A、FP7、SDP40F、GG-1は蒸気暖房式のため今回の趣向からは
外れますが牽引していない事もないです。
後は現在(=2020-06-26現在)、ホビーセンターカトー東京店の店頭で
Nスケール版の一部品番が特価になっているバッド社製ビジネスカー
(=中古で出ても結構安価な場合が多いです)、特急列車の展望車、
UPエクスカージョンセットのビジネスカー、マイクロトレインズの旧型展望車、
といった車輛を連結器だけ合わせて好きな順に連結します。
展望車のみならず中間車を所有している方もいるので寝台車やドームカー
といった車輛を連結するのも良いでしょう。
適当に連結してもそれらしく見えてしまう、のがこのテーマの便利な所です。
*旧塗装のまま連結するのであれば『客車のオーナーがオリジナルの塗装を
残している』と言えば良いだけの事です。
『ただそれだけ』と言えばそれだけです。結構簡単でしょ?
『たくさん連結するのは費用的にも大変!』という方向けには、こんな例も
あります。
Private Vernish 第97号掲載の広告より。
アムトラック・スーパーライナーの最後尾にオープンデッキ付きに改造された
カリフォルニア・ゼファー号のドーム付きスタッフ寝台車が一部塗装を変更
された上で連結されています。
これを参考にアムトラックの客車編成の最後尾に1~2輛増結します。
もっと極端な例であればダブルスタック編成や混成貨物列車の最後尾に
展望車を連結する、という手です。
ビジネスカーは編成から切り離された後でも自己の電源を確保するために
バッテリー等を搭載しているので貨物列車の最後尾に連結される事も
あります。
アムトラック以外の貨物鉄道の機関車に牽引させたい場合で複数の客車
が連結される場合は電源車もしくは電源車の代用に使える荷物車を用意
して『この中に発電機が入っている!』と言い張りましょう。(笑)
*電源車は発電機の修理等の便を考慮して元から大ドアを持つ荷物車
、手荷物・スタッフ用寝台車から改造されている事が多いです。
それ以外では屋根に取り外し式のハッチを設けて屋根から出し入れします。
例外:コールポーター編成は一定箇所のみを周回しているため。またタンク車
の専用編成は積載物の関係上、危険なため連結しない方が良いかと
思います。 |
〈3.最後に〉 |
ではこの連載お決まりの『閉め言葉』で今回分を終わりにしましょう。
『それでは次回まで、ごきげんよう。』 |